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雑草と雑草防除

雑草について



「雑草」とは?
雑草とは何かについてはいろいろな説明がありますが、大きくまとめると次の2通りの考え方があります。

人間にとって不利益になる植物
水田や畑の雑草を放っておくと作物が健全に育たず、収穫量が減ったり、品質が悪くなったりします。また、雑草は害虫の住みかとなったり、人間の活動のじゃまになったり、景観を悪くしたりします。こういった人間の活動に不利益を生じる植物を総称して雑草と呼ぶという考え方です。

人間の活動によって絶えず攪乱される土地に生えてくる植物
人の活動する場所では絶えず土の表面が動かされています。例えば作物を栽培するために土を耕したり、道路や建物を造るために土の表面を削ったりします。そうすると、人手の入らない高山や原生林の中、原野などに生育する植物とは異なった種類の植物が生えてきます。こういったものを総称して雑草と呼ぶという考え方です。

いずれにしても、雑草は、栽培している訳ではないのに、人間の周囲に勝手に生えてきて、時として人間に嫌がられながらも、人間のそばに好んで生活する植物だと言えるでしょう。


農業は雑草との戦い
作物を栽培する上では、雑草は大変やっかいな存在です。水田でも畑でも作物を栽培していると必ず雑草が生えてきます。雑草の種子は風や水の流れや、動物や人間によって運ばれて移動します。雑草が繁茂すると作物が必要とする土壌中の養分や水を奪ってしまったり、日光を遮り、作物の生育する空間を占領してしまったりして、作物の生育を著しく阻害します。その結果として収穫量が減ってしまったり、きちんとした生産物が収穫できなくなったりします。雑草を生やしたまま放っておくと収穫が皆無となることも珍しくありません。ですから、雑草を取り除く作業である「除草」は大変重要で、大昔から農業と切っても切り離せない関係にあります。
かつての農村部では腰の曲がったお年寄りを見かけることが多かったのですが、これは若い頃から腰を曲げて行う農作業が日常化していたことによるもので、その大半は草取り作業でした。現在では除草剤の普及などにより、除草作業は飛躍的に軽労働化して、腰の曲がった老人を見ることはまれになりました。


雑草防除の方法
雑草を抜き取る、刈り取る、枯らす、あるいは新たに生えないようにすることを含めて除草と呼んでいます。除草の方法には手取り除草、機械除草、生物除草、化学除草などがあります。

手取り除草
素手や鎌、鍬などの簡単な道具を使って雑草を抜き取ったり、根こそぎ刈り取ったりする方法です。大変な重労働で、かつてはこの方法しかありませんでしたが、現在では小規模な菜園や、他の除草法を補う目的で行われることがあります。

機械除草
文字通り機械を使って除草作業することです。例えば畑地ではカルチベーターなどの機械で作物の植わっている列(畝)の間の土を撹拌することで、生えている雑草を抜いたり、切断したり、土中に埋め込んだりして除草します。また、水田の周辺や果樹園、空き地などの非農耕地では刈り払い機を用いて雑草の地上部を短く刈り取ります。

生物除草
雑草を好んで食べる動物を放して雑草を防除したり、雑草を病気にする病原菌をまいて防除したりする方法などが考えられています。おもしろそうな方法ですが、問題点も多く、実用的と言うわけにはいきません。

化学除草
除草剤を用いて雑草を枯らしたり、生えてこないようにする方法です。現在では最も一般的な方法で広く用いられています。


日本の主な雑草
日本に生育する雑草の種類は数百種あります。雑草は種類によって好む環境が違うので、水田、畑地、非農耕地など、場所によって異なった種類が生育しています。また、雑草には種子で増え、一年で枯れてしまう一年生雑草と、地上部あるいは地下の一部が2年目以降も生き続ける多年生雑草とがあります。

水田の雑草
日本の水田によく見られる雑草の種類はそれほど多くはありませが、主なものは次のようなものです。これらは水をはった水田環境によく適応しています。

  [一年生雑草]
タイヌビエ、イヌビエ、タマガヤツリ、コナギ、ミズアオイ、アゼナ、アメリカアゼナ、アゼトウガラシ、ミゾハコベ、キカシグサ、ヒメミソハギ、タウコギ、タカサブロウ、アメリカセンダングサ、クサネム、イボクサ

[多年生雑草]
イヌホタルイ、マツバイ、ウリカワ、ミズガヤツリ、ヘラオモダカ、クログワイ、オモダカ、シズイ、コウキヤガラ、セリ、ヒルムシロ、キシュウスズメノヒエ、エゾノサヤヌカグサ

畑・果樹園・非農耕地などの雑草
生える雑草の種類は非常にたくさん有ります。地域や土壌条件でかなり変わってきますが、一般に畑では一年生雑草が主体で、果樹園や非農耕地では多年生雑草の比率が高くなります。

  [一年生雑草]
イヌビエ、メヒシバ、オヒシバ、エノコログサ、スズメノカタビラ、スズメノテッポウ、カヤツリグサ、イヌタデ、オオイヌタデ、スベリヒユ、ハコベ、シロザ、ホソアオゲイトウ、イヌビユ、ナズナ、タネツケバナ、スカシタゴボウ、イヌガラシ、カラスノエンドウ、ホトケノザ、ヒメオドリコソウ、オランダミミナグサ、ヤエムグラ、ツユクサ、ハキダメギク、ノボロギク、エノキグサ、オオイヌノフグリ、イチビ

[多年生雑草]
チガヤ、イヌムギ、シバムギ、カタバミ、セイヨウタンポポ、ハルジオン、ヨモギ、オオバコ、シロツメクサ、コヒルガオ、エゾノギシギシ、ハマスゲ、スギナ

非農耕地の雑草
空き地や路傍などの農耕地でないところに生育する雑草は畑地の雑草と共通のものも多いのですが、全般に多年生雑草の比率が高くなります。

  [一年生雑草]
メヒシバ、エノコログサ、カモジグサ、カヤツリグサ、センダングサ、ヒメジョオン、ヒメムカシヨモギ、オオアレチノギク、ブタクサ、ノゲシ、オニノゲシ、ノボロギク、メマツヨイグサ、オオマツヨイグサ、オオイヌノフグリ、ツユクサ

[多年生雑草]
チガヤ、ススキ、オギ、イヌムギ、セイヨウタンポポ、キクイモ、ヨモギ、オオヨモギ、セイタカアワダチソウ、オオアワダチソウ、ハルジオン、ヒメスイバ、エゾノギシギシ、イタドリ、クズ、ヤブガラシ、コヒルガオ、シロツメクサ、ムラサキツメクサ、オバコ、スギナ
除草剤って何だろう?



除草剤とは?
除草剤は農薬の一種です。害虫を防除する殺虫剤、作物の病原菌を防除し作物を病害から守る殺菌剤などと同じように、作物の生育を妨害し収穫量や品質を低下させる雑草や、人間の生活の妨害となる雑草を防除する薬剤が除草剤です。植物を殺すことを目的にした薬剤ですから、多くの除草剤は動物や病原菌に対する作用はあまりありません。

除草剤の使用場面
水稲、畑作、野菜、花卉、果樹、茶園、桑園、牧野草地などほとんどの農業分野で除草剤が使われている他、芝などの緑地や、宅地、駐車場、道路、鉄道、公園、運動場などの非農耕地で除草剤が使われています。例えば、日本の水田では、ごく一部の無農薬栽培の水田を除けば、ほぼ100%除草剤が使われています。かつては2〜3回の散布が必要でしたが、現在の除草剤は性能が向上し、1回または2回の散布で十分な効果が得られるようになっています。

選択性除草剤と非選択性除草剤
除草剤には選択性除草剤と非選択性除草剤があります。

選択性除草剤
選択性除草剤は作物の栽培されている水田、畑に用いられ、作物には害がなく雑草だけを防除する薬剤です。例えば水田ではイネの生育には全く影響がないのに、ノビエや広葉の雑草は枯らしたり発生を抑えたりすることのできる選択性の高い除草剤が使われています。また、畑で用いられる除草剤のなかにはイネ科の雑草だけを枯らす除草剤もあります。こうした薬剤は豆類やいも類、野菜類などの広葉作物の中に混在して生えるメヒシバ等のイネ科雑草だけを枯らすことができます。

非選択性除草剤
非選択性除草剤は散布する場所に生育する雑草をすべて防除することを目的とした除草剤です。宅地、駐車場、道路、鉄道、公園、運動場などで有用植物を植えていない場所に使われる他、畑や水田では、作物にかからない周辺部分や畝と畝の間に用いたり、播種前や収穫後といった作物のない時期に散布したりします。


土壌処理剤と茎葉処理剤
除草剤には植物に直接かけるか、あるいは土を介して吸収させるかなどの違いから土壌処理剤と茎葉処理剤があります。

土壌処理剤
土壌処理剤は雑草がまだ生えていない土の表面に散布して雑草が生えてくるのを防止する除草剤です。薬剤は土壌の表面近くに処理層と呼ばれる層を作り、種子から伸び始めた雑草の芽や根から吸収されます。雑草は生育する前に枯れてしまうので、人目に付くことはありません。除草剤は微生物や光などが関与して分解されて行くので、やがて効果は失われます。効果の持続する期間は薬剤によって異なります。

茎葉処理剤
茎葉処理剤は雑草の地上部にかけることで葉や茎の表面から吸収され、雑草を枯らします。散布後、数時間以内に変色やしおれ等の症状の現れる即効的な薬剤から、はっきりとした効果が現れるのに一週間以上かかる遅効的なものもあります。


除草剤の製剤と使用方法

除草剤の製剤
除草剤は、その有効成分の働きを最大限に発揮しながら、しかも散布しやすいように、いろいろな形の製品に作られています。このことを製剤と言います。
製剤の種類としては、粉末状の水和剤、水溶剤、粉剤、液状の乳剤、液剤、フロアブル、粒状の粒剤、細粒剤、顆粒水和剤、固形または袋入りのジャンボ剤などがあります。
粒剤や水田用フロアブルのように製品をそのまま播くものと、水に溶いて散布機を使って散布するものがあります。
このうち水田では粒剤、フロアブル、ジャンボ剤などが主に使われており、畑地、樹園地、非農耕地などでは液剤、乳剤、水和剤、フロアブルなどの利用が主体となっています。

新しい製剤と省力的散布方法
最近、水田用除草剤では、短時間で楽に散布出来るような製剤と散布方法の開発が進んでいます。例えばジャンボ剤はゴルフボール大の固まりを水田の周囲から放り込むだけで水田全体の除草ができてしまう画期的な除草剤です。


除草剤の安全性

農薬登録と安全性評価
除草剤は農薬ですから、すべて農薬取締法に基づき農薬登録されています。登録の為には薬効・薬害の試験の他、種々の安全性評価試験や、有用動植物への影響、魚介類への影響などを調べる試験を行い、それらについての審査を受け、問題ないと判断される必要があります。

農薬登録の試験項目
(1) 薬効に関する試験成績 適用病害虫に対する薬効に関する試験成績(農作物等の生理機能の増進又は抑制に用いられる薬剤にあっては、適用農作物等に対する薬効に関する試験成績)

(2) 薬害に関する試験成績 ア 適用農作物に対する薬害に関する試験成績
イ 周辺農作物に対する薬害に関する試験成績
ウ 後作物に対する薬害に関する試験成績

(3)毒性に関する試験成績 ア 急性経口毒性試験成績
イ 急性経皮毒性試験成績
ウ 急性吸入毒性試験成績
エ 皮膚刺激性試験成績
オ 眼刺激性試験成績
カ 皮膚感作性試験成績
キ 急性神経毒性試験成績
ク 急性遅発性神経毒性試験成績
ケ 90日間反復経口投与毒性試験成績
コ 21日間反復経皮投与毒性試験成績
サ 90日間反復吸入毒性試験成績
シ 反復経口投与神経毒性試験成績
ス 28日間反復投与遅発性神経毒性試験成績
セ 1年間反復経口投与毒性試験成績
ソ 発がん性試験成績
タ 繁殖毒性試験成績
チ 催奇形性試験成績
ツ 変異原性に関する試験成績
テ 生体機能への影響に関する試験成績
ト 動物体内運命に関する試験成績
ナ 植物体内運命に関する試験成績
ニ 土壌中運命に関する試験成績
ヌ 水中運命に関する試験成績
ネ 水産動植物への影響に関する試験成績
ノ 水産動植物以外への有用生物への影響に関する試験成績
ハ 有効成分の性状、安定性、分解性等に関する試験成績
ヒ 水質汚濁性に関する試験成績

(4)残留性に関する試験成績 ア 農作物への残留性に関する試験成績
イ 土壌への残留性に関する試験成績
 
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